『親鸞』と先週の読書リスト [読書]
遅ればせながら、五木寛之の『親鸞(上)』を読みました。
まだ上巻のみなので、全体の感想は言えませんが、上巻で特に心に響いた一節を紹介致します。範宴(後の親鸞)が法然の念仏説法を聞きに行く前に、法螺房に語られた言葉です。(p181)
「浄土をひたすら恋う気持ちがわからなければ、念仏はわからない。
頭で浄土を思いえがいているかぎり、法然房のもとに集う人々の心は理解できないだろう。
そのこころは心(こころ)ではなく、情(こころ)なのだ。
浄土は情土なのだ。
唯識で心はとけるが、情(こころ)はときあかすことはできぬ。」
み言葉の説き明かしである説教に通じる大切な教えがあるように感じられました。神学がこころを離れた知識と理屈、すなわち唯識に傾く時、福音のファリサイ化が起きるのでしょう。
下記は、先週の読書リストです。
2011年3月28日 - 2011年4月3日の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:883ページ
■老いを生きる―教会の課題、キリスト者の課題 (キリスト教カウンセリング講座ブックレット)
読了日:04月02日 著者:加藤 常昭
http://book.akahoshitakuya.com/b/4873955785
■神学入門 (新教新書)
入門といいながら、内容は高度。一般的な神学入門でなく、「神の痛みの神学」及び「十字架の神学」に関する入門と言える。小著ながら内容の濃い良書。今後何度も読み返すに違いない。
読了日:04月01日 著者:北森 嘉蔵
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10431407
■キリストと文化
ニーバーの類型は興味深いが結論が不明瞭。
読了日:03月31日 著者:H.リチャード・ニーバー
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10415150
■東京バプテスト教会のダイナミズム―日本唯一のメガ・インターナショナル・チャーチが成長し続ける理由 (YOBEL新書)
福音派のダイナミズムを感じたが、やはりルーテルからすると違和感が拭えない感じ。
読了日:03月29日 著者:渡辺 聡
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/10381964
東京バプテスト教会内minisrty担当牧師としての執筆で、
中立的な社会学者として書かれた本ではありません。
関係者として問題点も認識しながら、なぜこういった本を書かれたのか不思議です。
東京バプテスト教会は、「メガチャーチ」であり、成長戦略重視のあまり10年位前とは雰囲気が変わりつつあります。インパクトのあるメディア活用を好み、組織の改編もしました。掬いあげるタイプの教会ではありません。弱点のある信徒は肩身が狭いかもしれません。
by 昔の信徒 (2011-04-07 15:13)
昔の信徒さま
コメントをありがとうございました。
福音派特有の雰囲気に加え、メガチャーチという特徴が良くも悪くも色々な思いを抱かせてしまうのかも知れませんね。
私が所属している日本のルーテル教会にはメガチャーチはおろか、200名を越す礼拝規模の教会がありません。その辺の問題意識から、今回あえて福音派のメガチャーチの実情を知りたいと思い読んでみた次第です。
日本人が好むとされる盆栽型の教会からの脱皮には、産みの苦しみも伴うことでしょうね。
貴重なコメントをありがとうございました。
by ヨシ (2011-04-07 19:24)